壁にある物
あれは、まだ俺が学生だった頃。母親の友人が小学生になったばかりの娘を連れて我が家に遊びに来ていた。その子はおもむろに俺の部屋にやって来てこう訪ねた。
「ねぇねぇ。なんでお兄ちゃんの部屋にセーラームーンのポスターが貼ってあるの?」
当時、何を買ってもポスターが付いてくるそんな感じだったので、もらったポスターを月替わりで貼り替えというか、重ね貼りして遊びに来る友人に気味悪がられるというのが習慣だった。ほかにもびっしりポスターは貼られていたけれど、女の子が知っていたのはセーラームーンだけだったのだろうか。質問に答えられない俺に飽きたのか、目の前にいる存在になにか危険なものを感じたのか、母親の元へ大声を上げながら駆け出す女の子。
「お母さん! お兄ちゃんなのに、セーラームーン! なんで? なんで!! おかしいよ!」
お母さんはすぐに子供を連れて帰りましたとさ。
なぜあのとき、きちんと答えられなかったのか。これが若さということでしょうか。今ならはっきりと彼女の疑問に答えられる、そんな気がします。
「ククク。お嬢ちゃん。それはね、お兄ちゃんが紳士だからさ。あえて言うなら、ジュピター萌えみたいな?」
おかしいのは、壁一面にポスターで埋め尽くされてる事な気もしますが。こうも直接的に、この人はおかしい。と言われるとなんだか照れてしまいますね。ある意味、他人に理解されたようでうれしくさえあります。
ところで、今現在壁を眺めてみると。4枚ほどポスターが残っていました。
- Vガンダム
- GP03
- ノーチラス号(ナディア)
- 金田のバイク
これはこれで、なんかしょっぺぇ。アイドルの写真でも貼った方がいいかしら。とりあえず千早のポスターでも…。


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